皆さんのご家庭では、”砂糖”は何を選んでいますか?
スーパーの砂糖売り場に行くと、たくさんの種類が並んでいて、「どれを選べばいいんだろう?」と迷ったことはないでしょうか?
私自身も、かつては「いろんな種類の砂糖があるな」と思いながらも、結局ずっと「上白糖」ばかり使っていました。
しかし、砂糖について調べ始めると、実は原料や製造方法の違いで多くの種類があり、それぞれに特徴があることを知ったんです。
料理の用途に合わせて適した砂糖があることや、砂糖の種類によって健康への影響も変わるということも知りました。
この記事では、「砂糖の種類」や「用途別の選び方」、「健康への影響を踏まえたおすすめ」を解説。
そのうえで、もし1つの種類の砂糖を選ぶのであれば「黒糖」をおすすめしたいと思います。
なぜ「黒糖」が料理にも健康にもベストなのか、その理由についてもお伝えします。
最後まで読めば、砂糖選びに迷うことがなくなり、きっと料理がもっと楽しくなるはずです!
この記事はこんな方におすすめです
・砂糖の種類と用途別の選び方について興味がある!
・健康にはどのような砂糖が良いのか知りたい!
・なぜ「黒糖」がおすすめなのか知りたい!
砂糖は製法で大きく2つに分類される
砂糖は、その製造方法によって「精製糖」と「含蜜糖」の2種類に大きく分けられます。
ここでは「砂糖の原料」や「精製糖」と「含蜜糖」の特徴、製造プロセスについて詳しく解説します。
砂糖の原料は主に2つ
はじめに砂糖の原料について簡単に説明します。
砂糖の原料は主に2つ。
「さとうきび」と「てんさい(ビート)」です。
さとうきび

世界の砂糖生産量の70%〜80%を占めているのが「さとうきび」です。
さとうきびは主に熱帯・亜熱帯地域で生産され、日本では沖縄県や鹿児島県が主な生産地です。
過酷な環境に強く、強風や水不足にも耐性があります。
さとうきびから作られる砂糖は、コクのある甘さが特徴です。
てんさい(ビート)

世界の砂糖生産量の20〜30%を占めているのが「てんさい(ビート)」です。
主に温帯~寒帯地域で生産され、日本では北海道でのみ生産されています。
てんさいから作られる砂糖は、品のある甘みを持っています。
精製糖は白く美しい

精製糖は、サトウキビやテンサイなどから抽出した糖液を精製し、不純物を徹底的に取り除いて作られる砂糖です。
精製糖の特徴
精製糖の主成分はショ糖(スクロース)で、純度が非常に高いです。
甘みが強く、クセのないスッキリとした味わいが特徴で、白く美しい結晶を持っています。
精製糖の製造方法
精製糖は、以下の5つの工程を経て製造されます。
- 抽出: サトウキビやテンサイを砕き、水で煮出して糖液を抽出します。
- 精製: 抽出した糖液を何度も精製し、不純物を取り除きます。
- 結晶化: 精製した糖液を煮詰め、砂糖の結晶を作ります。
- 乾燥: 結晶を乾燥させ、水分をしっかり取り除きます。
- 包装: 乾燥させた結晶を包装して製品化します。
含蜜糖は栄養価が高い

含蜜糖とは、砂糖の製造過程で「糖蜜」と呼ばれる成分を砂糖の結晶と分離せず、一緒に固めた砂糖のことです。
含蜜糖の特徴
原料本来の風味が残り、まろやかでコクのある甘みが特徴です。
糖蜜には、ミネラルやビタミンなどの砂糖本来の栄養成分が多く含まれており、精製糖に比べて栄養価が高いです。
含蜜糖の製造方法
含蜜糖は次のような工程で作られます。
- 抽出: サトウキビやテンサイを砕き、水で煮出して糖液を抽出します。
- 濃縮: 抽出した糖液を煮詰めて水分を飛ばします。
- 結晶化: 濃縮した糖液を冷やし、砂糖の結晶と糖液を一緒に固めます。
- 乾燥: 結晶を乾燥させ、水分をしっかり取り除きます。
- 包装: 乾燥した砂糖を包装し、製品として完成させます。
精製糖と大きく異なるのは、「抽出」後は精製をせず、糖液を「濃縮」させる工程です。
糖液の栄養をそのまま閉じ込めるため、深いコクや風味、栄養価の高さにつながっています。
砂糖の種類と適した用途
次は「精製糖」「含蜜糖」それぞれの種類と適した用途をお伝えします。
精製糖の種類と適した用途
精製糖はすべて白い結晶で甘みが強いのが特徴です。
6種類の精製糖を紹介します。
上白糖

上白糖は、日本でもっとも一般的な砂糖で、スーパーなどで手軽に手に入る砂糖です。
白く純粋な甘みが特徴で、幅広い料理に使われています。
煮物、炒め物、お菓子作りや飲み物などオールマイティーに使うことができます。
グラニュー糖

グラニュー糖は、砂糖の中でも特に純度が高く、サラサラとしていて結晶が大きく均一です。
クセがなくスッキリとした強い甘さが特徴です。
お菓子作り、コーヒーや紅茶などの飲み物
粉砂糖

粉砂糖は、グラニュー糖を細かく粉砕したもので、お菓子作りに欠かせない材料です。
その特徴は、きめ細かく、口溶けが良いこと。
これにより、滑らかな食感と美しい見た目の仕上げに貢献します。
ケーキなどのアイシングやデコレーション、焼き菓子など
三温糖

三温糖は、独特の風味と色合いが特徴的な砂糖です。
コクがあり、深みのある味わいが楽しめます。
上白糖より強い甘みが感じられます。
製造過程でカラメル化が起こり、見た目は黄褐色。
糖液を繰り返し煮詰めることで、カラメル成分が増え、独特の風味と色が生まれます。
和食料理(煮物、照り焼き、佃煮など)、和菓子、焼き菓子
氷砂糖

氷砂糖は、大きな結晶が特徴的で水に溶けるのが遅いです。
その特徴から、果実酒作りなど他の砂糖とは異なる用途があります。
果実酒作り、長時間の煮物料理、砂糖菓子
含蜜糖の種類と適した用途
含蜜糖は全体的にコクがあり、独特の風味を持っています。
見た目は濃い色のものから、薄い色のものまで、種類によって様々です。
3種類の含蜜糖を紹介します。
黒糖

サトウキビの汁を煮詰めて作られるものが多く、深いコクと豊かな風味が特徴です。
ほのかな苦みを感じられることもあります。
和食料理(煮物や炒め物など)、和菓子、焼き菓子など
きび砂糖

きび砂糖は、サトウキビの汁を煮詰めて作った砂糖の一種です。
上白糖のような精製された砂糖とは異なり、サトウキビ本来の風味を残しています。
薄い茶色の見た目で、黒糖ほどではありませんがコクがあり、ほのかな甘みが特徴です。
焼き菓子、煮物、パン作りなど
てんさい糖

てんさい糖は、てんさい(ビート)を原料とした砂糖です。
サトウキビから作られる砂糖と異なり、まろやかな甘みが特徴です。
ビフィズス菌などの善玉菌のエサとなるオリゴ糖が豊富に含まれていて、腸内環境を整える効果が期待できます。
お菓子作り全般(素材本来の味を活かしたいとき)、ヨーグルト
■参考
【特集:健康と活力を支える糖質摂取-改めて知る糖質の生体調節機能-】 砂糖 製法と用途,そして歴史|齋藤 祥治(前 製糖工業会技術研究所所長兼理事)
健康に良いのは精製糖より含蜜糖
砂糖の種類によって風味や甘みの強さが異なりますが、健康への影響についてはどうなのでしょうか?
実は、上白糖やグラニュー糖といった「精製糖」よりも、黒糖やきび砂糖などの「含蜜糖」のほうが健康面で優れているとされています。
その理由を詳しく見ていきましょう。
精製糖には栄養がほとんど含まれていない
精製糖は、徹底的に不純物を取り除いて製造されているため、白く透明感のある結晶とスッキリとした甘さが特徴です。
しかし、その精製過程で、ビタミンやミネラルなどの栄養素もほとんど失われてしまいます。
精製糖のほとんどは糖分(ショ糖)で構成されており、摂りすぎると血糖値が急激に上昇しやすくなります。
この血糖値の急上昇は、健康リスクの一因となることがあるため注意が必要です。
含蜜糖はビタミン・ミネラルが豊富
含蜜糖は精製が行われていないため、糖分だけでなく、ビタミンやミネラルといった栄養素が豊富に含まれています。特に黒糖には鉄分やカリウムが多く含まれており、栄養価の高い砂糖として知られています。
また、含蜜糖は血糖値を緩やかに上昇させる傾向があり、精製糖に比べて体への負担が少ないとされています。
てんさい糖にはオリゴ糖が豊富に含まれており、腸内環境を整える効果も期待できます。
砂糖は適量が大切
含蜜糖が精製糖より健康的だとしても、砂糖はあくまで嗜好品です。
どの種類の砂糖も摂りすぎると血糖値を上げ、糖尿病や心血管疾患などのリスクを高める可能性があります。
健康を意識する場合、含蜜糖を選ぶだけでなく、砂糖の使用量を適切に抑えることが重要です。
料理やお菓子作りに砂糖を使うときは、「控えめ」を心がけることで、より健康的な食生活が実現できます。
【結論】一つ選ぶなら「黒糖」がおすすめ

ここまで、砂糖の種類や用途に応じた選び方について解説してきました。
「料理やお菓子ごとに最適な砂糖を用意したい」と思われた方は、ぜひ参考にしてください。
一方で、「たくさんの砂糖を買っても使い切れない」「いろいろな料理やお菓子に使える万能な砂糖が一つあれば十分」と考える方も多いのではないでしょうか?
そんな方にぜひおすすめしたいのが「黒糖」です!
「何にでも万能に使えるのは上白糖ではないのか?」と思われるかもしれません。
確かに、どの料理にも使いやすい砂糖といえば、クセがなくスッキリとした甘さの「上白糖」が定番です。
しかし、一般家庭で砂糖を使う場面や健康面を考慮したとき、あえて一つの砂糖を選ぶのであれば「黒糖」をおすすめします。
ここからは、黒糖がなぜ料理にも健康にも優れた砂糖なのか、その理由を解説していきます。
砂糖を使う料理の多くは和食
砂糖を使う料理について改めて考えてみると、その多くが「和食」ではないでしょうか?
例えば、煮物の味付けや、照り焼きなどの炒め物で砂糖を使う場面。
また、砂糖を加熱してカラメル化させる技法も、和食ではよく使われます。
一方、中華料理でも甘酢だれなど一部の甘味を加えるレシピで砂糖が使用されますが、砂糖がメインになる場面は少なめです。
洋食ではグラッセやソースに限られることが多く、砂糖が登場する頻度はそれほど高くありません。
その他の用途としては、主にお菓子作りやコーヒー、紅茶など飲み物に加える場合が挙げられます。
そのため、ご家庭で砂糖を選ぶ際は、和食の用途を中心に考えるのがおすすめです。
「黒糖」は深いコクと自然な甘みがあり、特に和食料理に非常に適しています。
煮物や炒め物では、黒糖が素材の風味を引き立て、料理全体に奥行きを与えます。
また、黒糖はその独特の風味が特徴ですが、洋食や中華料理といった料理全般に十分使うことができる砂糖です。
黒糖は健康面で上白糖より優れている
黒糖は上白糖と比較して、ビタミンやミネラルといった栄養素が圧倒的に豊富です。
■ミネラル含有量の比較(100gあたり)
栄養素 | 黒糖 | 上白糖 |
カルシウム | 240mg | 1mg |
カリウム | 1,100mg | 2mg |
マグネシウム | 31mg | 微量 |
鉄 | 4.7mg | 0.2mg |
亜鉛 | 0.5mg | 0mg |
■ビタミンの含有量の比較(100gあたり)
栄養素 | 黒糖 | 上白糖 |
ビタミンB1 | 0.05mg | 0mg |
ビタミンB2 | 0.07mg | 0mg |
ナイアシン | 0.8mg | 0mg |
特に注目すべきはカルシウムとカリウムの含有量です。
黒糖には、上白糖の約240倍のカルシウム、約550倍のカリウムが含まれています。
これらのミネラルは、骨や歯の健康維持、筋肉の働きのサポートに重要な役割を果たします。
さらに、黒糖にはビタミンB群も含まれており、エネルギー代謝を助けたり、疲労回復に寄与したりする効果が期待できます。
一方で、上白糖にはこれらのビタミンがほとんど含まれていません。
こうした栄養素の豊富さが、黒糖をおすすめする理由の一つです。
ただし、黒糖も砂糖であることに変わりはないため、カロリーが高い点には注意が必要です。
適量を守りながら賢く活用することで、健康的な食生活を目指しましょう。
「黒糖」をおすすめする理由!
1 家庭で砂糖を使う料理は和食が多い。
和食に合う砂糖として、コクが強い「黒糖」がおすすめ。
2 上白糖は万能だけど、黒糖は栄養豊富
上白糖はクセのない甘さで使いやすい砂糖ですが、黒糖にはビタミンやミネラルが豊富。
健康面を重視するなら、「黒糖」がおすすめです。
以上のように、「家庭での砂糖の用途」と「健康面」の両方から考えると、黒糖は最適な選択肢と言えます。
ただし、黒糖が合わない料理や、特にお菓子作りを頻繁にする場合には、それぞれに適した砂糖をプラスして選んでいただけると良いでしょう。
まとめ
今回は、砂糖の種類とそれぞれに適した用途について解説しました。
砂糖は製造方法で分類すると大きく2種類。「精製糖」と「含蜜糖」です。
「上白糖」や「グラニュー糖」などの精製糖はクセがなくさまざまな料理に使いやすい反面、糖分以外の栄養素がほとんど含まれていません。
一方、「黒糖」や「きび砂糖」といった含蜜糖は、ビタミンやミネラルが豊富で、独特の風味やコクが料理に深みを与えます。
特に「黒糖」は、和食にぴったりの深いコクと、鉄分をはじめとする栄養素が豊富で、健康を意識する方にもおすすめの砂糖です。黒糖を使うことで、料理の味わいを引き立てながら、健康面へも配慮できます。
ただし、全ての料理に黒糖が最適というわけではありません。
お菓子作りや洋食などでは、用途に合った砂糖を選ぶことが大切です。
それぞれの料理に適した砂糖を使い分けることで、食卓をより豊かにすることができます。
この記事が、これからの砂糖選びの参考になれば幸いです。
ぜひ次のお買い物で「黒糖」を試して、その魅力を実感してみてください!

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