「健康に良い」と言われている食べ物はなぜ5つ?その理由を解説

野菜・ナッツ・果物

健康に良い食習慣を身につけたい。
私がこのように思ったとき、真っ先に調べたのは「健康に良い食べ物」でした。
しかし、GoogleやYouTubeなどで「健康に良い食べ物」と調べてみると、さまざまな情報が溢れかえっていて、時には矛盾するものもあり、どの情報を信じれば良いのか迷ってしまいました。
ですがそんな中、ある食品群が常に高く評価されていることに気づきました。
それは、「魚」「野菜・果物」「茶色い炭水化物」「オリーブオイル」「ナッツ」の5つです。
この5つの食べ物が体に良いと言う情報は、きっと多くの方が目にしたことがあるのではないかと思います。
しかし、なぜこれらの食べ物が繰り返し推奨されているのでしょうか?
その理由を深掘りしていきたいと思います。

目次

「5つの食べ物」は本当に健康に良いのか?

「魚」「野菜・果物」「茶色い炭水化物」「オリーブオイル」「ナッツ」は本当に健康に良い食べ物なのでしょうか?

結論から申し上げると、それは間違いないようです。

おそらく、この5つの食べ物が健康に良いという情報は、2018年に津川友介氏によって発表された著書『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』によって広まったのではないかと思います。

津川氏は医師であり、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の助教授を務め、ハーバード大学で博士号を取得した経歴を持ちます。

そのような経歴を持つ津川氏が一人でも多くの日本人に対して、食事に関する本当に正しい知識を身につけてもらえるように「科学的に証明された健康に良い食事」について、わかりすく信頼できるエビデンスと共に解説されている著書が『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』になります。


そして、この書籍の中で「本当に健康に良い食品」として挙げられているのが、まさしく「魚」「野菜・果物」「茶色い炭水化物」「オリーブオイル」「ナッツ」(以下「5つの食べ物」と記載。)でした。

「健康に良い」とは「脳卒中、心筋梗塞、癌などの病気になるリスクを下げること」と説明されています。

津川氏は健康の観点から全ての食品は5つのグループに分けられる」と説明されており、それが次の表のようなものになります。

グループ1健康に良いことが複数の信頼できる
研究で報告されている。
「5つの食べ物」
グループ2少数の研究で健康に良い可能性が
示唆されている。
ダークチョコレート、コーヒー、納豆など
グループ3健康へのメリットもデメリットも
報告されていない。
その他の多くの食品
グループ4少数の研究で健康に悪い可能性が
示唆されている。
マヨネーズ、マーガリン
グループ5健康に悪いということが複数の信頼
できる研究で報告されている。
赤い肉、白い炭水化物、
バターなどの飽和脂肪酸

この表のとおり、複数の研究結果から本当に「健康に良い」といえるのは現状「5つの食べ物」しかありません。

その他にも健康に良いと言われているグループ2に当てはまる食べ物はたくさんあると思いますが、それらはまだエビデンスのレベルが低いということになります。

また、それだけエビデンスのレベルが高いとされる「5つの食べ物」は津川氏の書籍だけではなく、他の多くの健康的な食事を取り扱う書籍や記事などで「健康に良い」と紹介されています。

では具体的に「5つの食べ物」にはどのような健康効果があるのでしょうか?

『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』の書籍の内容を含め、国の機関や大学の研究結果など信頼できるエンビデンスを参考として解説します。

「5つの食べ物」の具体的な健康効果

1 魚

焼き魚

魚の摂取量が多い人ほど死亡するリスクが低いことが複数の研究結果から明らかになっています。

1日60gの魚を食べていた人は、魚を全く食べない人と比べて死亡率が12%低いという結果が出ています。

特に心筋梗塞などの動脈硬化による病気のリスクを下げる効果が大きいようです。

魚に含まれるオメガ3脂肪酸の摂取は動脈硬化による病気の再発を予防してくれるという傾向が研究で示されており、厚生労働省においてもオメガ3脂肪酸を豊富に含む魚の摂取は心臓に良い食材の一つとして示されています。(サプリメントなどオメガ-3脂肪酸単独で心臓病の予防効果があることを示す決定的な報告はないとのことなので注意してください。)

マグロやサンマ、イワシ、ブリなど脂ののった青魚を食べると良いでしょう。

【参考文献】
厚生労働省eJIM | オメガ3脂肪酸について知っておくべき7つのこと[コミュニケーション]
https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/communication/c03/05.html

米国国立医学図書館|魚の消費と全原因死亡率:コホート研究のメタアナリシス
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25969396/

2 野菜・果物

野菜と果物

多くの研究によると、1日の野菜の摂取量が1単位(小皿1杯分)増えると全死亡率は5%減り、果物の摂取量が1単位(りんご小玉一つ)増えることに全死亡率が6%減るという結果が出ています。

1日5単位(400gくらい)を上限に野菜や果物を食べるほど死亡率は減るとされています。

観察研究の結果によると、野菜や果物は心筋梗塞や脳卒中を予防する可能性が高いとのことです。

しかしながら、果物についてはよくネガティブな意見も目にします。

それは「果物には果糖(糖質)が多く含まれるので控えた方が良い」というようなものです。

しかし、大規模な研究結果によると、果物をとっている人ほど糖尿病のリスクが低いことが明らかになっています。

中でも、ブルーベリーやブドウを食べている人ほど特に糖尿病のリスクが低いことがわかっています。(赤肉腫のマスクメロンやイチゴは逆に糖尿病のリスクを上げる結果が出ているとのことです。)

ただし、フルーツジュースについては逆に多く飲んでいる人ほど糖尿病のリスクが高いことがわかっており、野菜ジュースについてはエビデンスがなく健康に良いかどうかはわかっていないようです。

そのため、「野菜・果物」は加工されていないもので摂取することを心がけると良いでしょう。

【参考文献】
果物・野菜摂取と死亡リスクとの関連について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8961.html

【参考文献】
米国国立医学図書館|すべての原因、心血管疾患、癌による果物と野菜の消費と死亡率:前向きコホート研究の系統的レビューと用量反応メタアナリシス
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25073782/

3 茶色い炭水化物

玄米

「茶色い炭水化物」とは精製されていない食物繊維などを多く含む炭水化物のことで、玄米、蕎麦、全粒粉のパンなどが該当します。

これらの「茶色い炭水化物」は食物繊維のほかにもビタミン、ミネラルなどの栄養成分を豊富に含み、肥満や動脈硬化、糖尿病のリスクを下げるといわれています。

米国・英国・北欧の国々の研究結果(78万6000人のデータ)を統合したものによると1日70gの茶色い炭水化物を摂取したグループは、摂取していないグループと比較して死亡率が22%下がるという結果が出ています。

茶色い炭水化物が健康に良いというエビデンスは複数あります。

普段白米や小麦食品を主食として食べている方は多いと思いますが、玄米や全粒粉のパンなど茶色い炭水化物を代わりに食べるようにすることで、長期的に健康に大きなメリットがあると考えられます。

【参考文献】
米国国立医学図書館|全粒穀物摂取量とあらゆる原因、心血管疾患、がんによる死亡率:前向きコホート研究のメタ分析
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27297341

食物繊維摂取量と死亡リスクの関連 現在までの成果 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8484.html

4 オリーブオイル

オリーブオイル

地中海沿岸地域の食生活である「地中海食」が体に良いというエビデンスは複数あり、オリーブオイルは地中海食の中心的存在です。

スペインで行われた地中海食の健康効果を検証する研究の中で、オリーブオイルを5年間毎日50g多く摂取したグループは、そうでないグループと比較して、脳卒中、心筋梗塞の発症及びそれらによる死亡リスクが30%下がっとの結果が出ています。

オリーブオイルは一価不飽和脂肪酸という変性しにくい良質な油で、抗酸化作用があります。

バターなどの飽和脂肪酸の代わりに、できるだけエキストラバージンオイルなどの新鮮なオリーブオイルを非加熱の状態で摂取することで健康効果が高くなると考えられます。

【参考文献】
米国国立医学図書館|エキストラバージンオリーブオイルまたはナッツを補給した地中海食による心血管疾患の一次予防
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29897866/

5 ナッツ

ナッツ

ナッツもオリーブオイルと同じく地中海食の中心となる食べ物になります。

ナッツとは「木の実」のことで、アーモンドやクルミ、カシューナッツなどを指します。

オリーブオイルの項目で紹介した地中海食の健康効果を検証する研究と同じ研究で、地中海食にナッツを5年間毎日25g多く摂取したグループは、そうでないグループと比較して、脳卒中、心筋梗塞の発症及びそれらによる死亡リスクが28%下がったとの結果が出ています。

ナッツは悪玉のLDLコレステロールの減少や、新血管疾患のリスクを下げるなどの健康効果が期待できます。

また、ナッツの摂取によりがんの発生を予防する可能性があることも研究によって示されています。

ナッツを食べる際はできるだけ無塩で素焼きのものを選ぶと良いでしょう。

【参考文献】
米国国立医学図書館|エキストラバージンオリーブオイルまたはナッツを補給した地中海食による心血管疾患の一次予防
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29897866/

Nutrition Reviews(栄養学分野の医学雑誌)|ナッツの消費とがんと2型糖尿病のリスク:系統的レビューとメタアナリシス
https://academic.oup.com/nutritionreviews/article/73/7/409/1942256?login=false

大切なのはバランスよく食べること

ここまで「健康に良い食べ物」として5つの食べ物(「魚」「野菜・果物」「茶色い炭水化物」「オリーブオイル」「ナッツ」)が高く評価されている理由について解説させていただきました。

これらの食べ物は特に健康に良いというエビデンスのレベルが高く、日常の食事に取り入れることで長期的に健康効果を得ることができるでしょう。

ただし、この5つの食べ物だけたくさん食べれば良いのかというと、そうではないと思います。

いくら健康に良いと言われていても食べ過ぎは良くないですし、他の食べ物からも栄養素を摂取する必要があります。

また、食の楽しみを感じることも生きるうえでは大切だと思いますので、体に良いものしか食べてはならないと神経質になりすぎるのも精神衛生上良くないかと思います。

毎日の食事にこれらの食べ物を無理せずにバランスよく取り入れ、習慣化させることで長く健康的な生活ができると思います。

今後、どのようにこれらの食べ物を自分の食生活に無理なく取り入れることができるかについての記事も書かせていただこうと思います。

ここまでご覧いただきありがとうございました。

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