「世界にはどんなスープがあるの?」
寒い日に飲む一杯のスープ。
それは、世界中どこでも人々の心を温めてきた“食の原点”です。
フランスのブイヤベース、タイのトムヤムクン、ロシアのボルシチ——
各国のスープには、その土地の気候や文化、人々の暮らしが映し出されています。
この記事では世界のスープについて、次の内容をまとめてわかりやすく紹介します。
- スープでわかる文化・暮らし
- 世界の代表的なスープまとめ(21選)
- 世界の人気スープ簡単レシピ
きね旅行気分で世界のスープの魅力を楽しんでください!
世界で愛される「スープ」という文化
世界のどこへ行っても、人々の暮らしの中には「スープ」があります。
その始まりはとても古く、人類の食文化とともに歩んできた料理のひとつです。
なぜ、私たち人類はこれほどまでにスープを愛してきたのか?
その答えを探るため、スープの歴史と特徴をたどります。
スープは人類最古の料理
スープの起源は、人類が文字を生み出すよりも前、遥か昔の先史時代にまでさかのぼります。
火を使いこなすようになった人々が、やがて土器や石の鍋を発明し、水と食材を一緒に煮ることを覚えました。これが、今日のスープのはじまりだと考えられています。
紀元前1500〜1600年ごろの古代エジプトでは、肉や野菜、固くなったパンなどをひとつの鍋に入れて煮込む“ごった煮”のような料理が食べられていました。
飾り気こそないものの、栄養を逃さず、体を温め、家族をひとつにする暮らしに欠かせない料理がスープ。
同じような煮込み料理は古代ギリシアやローマにも広まり、文献や遺跡からもその存在が確認されています。



そしてスープは、「生きるための料理」から「文化を育む料理」へと進化していきました。
気候や食材の違いが国ごとの味をつくる
世界のスープは次のような理由から国・地域ごとに特徴があります。
- 気候が違う
- 手に入る食材が違う
- 文化・宗教が違う
世界のスープが国ごとに大きく異なるのは、その土地の気候や食材、文化の違いが影響しているためです。
寒い地域
寒い地域では、体を温めるための濃厚で具だくさんのスープが主流。
栄養をしっかり補給できる“冬を生き抜くスープ”です。
例)ロシアの「ボルシチ」
北欧の「サーモンスープ」
暑い地域
暑い地域では、食欲を刺激する酸味・辛味のある軽いスープが好まれます。
暑さで疲れた体を整える役割もあります。
例)タイの「トムヤムクン」
ベトナムの「フォー」
地形や宗教
地形や宗教も味づくりに大きく関わります。
- 海に囲まれた地域:魚介が中心
- 山岳地帯:豆や穀物が主役
- 宗教上の理由で特定の肉を使わない国:香辛料や野菜を活かした独自のスープ
このようにスープは、自然環境や文化の違いがそのまま“味”に表れているといえます。
世界のスープまとめ【国・地域別】21選
ここからは、世界のスープを国や地域ごとにまとめて紹介していきます。
その前に、スープの代表格としてよく挙げられる「世界三大スープ」についても触れておきます。
実はこの三大スープには諸説あり、現在一般的には4種類が“世界を代表するスープ”として知られています。
つまり実際は「世界四大スープ」となっており、次の4つが該当します。
- ブイヤベース(フランス)
- ボルシチ(ウクライナ)
- フカヒレスープ(中国)
- トムヤンクン(タイ)
いずれも、その国を象徴する食文化が詰まった名物スープです。
ヨーロッパのスープ
フランス
ブイヤベース


ブイヤベースは、フランス南部、地中海沿岸の港町マルセイユ発祥の伝統的な魚介スープです。世界四大スープの一つ。
主な具材は、地中海で獲れる白身魚、ムール貝、海老、蛸など多様な魚介類。サフランによる黄金色と独特な芳香、トマトの酸味、地元のハーブが味の決め手です。
オニオングラタンスープ


オニオングラタンスープは、フランス発祥の伝統的なスープです。じっくり炒めて甘みを引き出した玉ねぎをベースに作られます。
スープにバゲットなどのパンを浮かべ、その上にオーブンで焼いたチーズが香ばしくとろけているコクの深いスープです。
イタリア
ミネストローネ


ミネストローネは、イタリアの家庭で広く親しまれてきた具だくさんの野菜スープです。その名は「ごった煮のスープ」「大きなスープ」を意味します。
主役となるのは季節の野菜(タマネギ、ニンジン、セロリ、ジャガイモ、ズッキーニ、豆など)で、各家庭・地方によって入れる食材が変わります。
ズッパ・ディ・ペッシェ
ズッパ・ディ・ペッシェは、イタリア各地の沿岸部で親しまれる魚介たっぷりのスープ(魚介のごった煮)です。直訳すると「魚のスープ」で、家庭や漁村ごとにレシピが異なります。
新鮮な魚や貝、エビ、イカなどの海の幸をふんだんに使い、トマトや白ワインとともに煮込むのが特徴です。
ウクライナ
ボルシチ


ボルシチはウクライナ発祥の伝統的な煮込みスープで、東ヨーロッパを中心に広く親しまれています。世界四大スープの一つです。
最大の特徴は、ビーツ(テーブルビート)という赤い根菜による深紅色。豊富な具材をじっくり煮込んだ濃厚な味わいです。ウクライナでは祝祭や日常の家庭料理として食卓に並び、「おふくろの味」的な存在です。
ハンガリー
グヤーシュ


グヤーシュはハンガリーを代表する伝統的なスープ料理で、「牛飼いのスープ」として知られています。
牛肉を主な材料に、玉ねぎ、ジャガイモ、パプリカなどの野菜をラードで炒めて煮込むことで作られます。
真っ赤な色はたっぷり使われるパプリカパウダーによるもので、見た目は辛そうですが、実際はほとんど辛くなく、甘味のある味わいが特徴です。
フィンランド
ロヒケイット(サーモンスープ)


ロヒケイット(サーモンスープ)は、フィンランドの伝統的なサーモンスープで、「ロヒ」がサーモン、「ケイット」がスープを意味します。
特徴はサーモンの旨味と野菜の甘みが凝縮されたクリーミーで体が温まるスープで、寒い季節に特に好まれています。
アジアのスープ
日本
味噌汁


味噌汁はだしの旨味と味噌の風味を活かした具だくさんの日本の伝統的なスープです。
だし汁で具材を煮てから火を止めて味噌を溶かし入れ、味噌の風味を生かすために煮立てないのが基本的な作り方。
地域や季節に応じた多彩な具材が楽しめる、日本の豊かな食文化を象徴する料理です。
お吸い物


お吸い物は、鰹だしや昆布だしをベースにした澄んだ和風スープです。
味付けは主に塩や醤油、酒で繊細な味付けと上品な香りが特徴。
季節の食材をあしらうことが多く、日本の伝統的な味を表現しています。
タイ
トムヤンクン


トムヤンクンはタイを代表する強烈な辛味と爽やかな酸味が特徴のスープです。世界四大スープの一つ。
主にエビを使い、レモングラス、カフィアライムの葉、ガランガル、唐辛子、ナンプラーなどの香味野菜・調味料によって複雑で立体的な味わいに仕上げられます。
トムカーガイ


トムカーガイはタイの伝統的な鶏肉入りココナッツミルクスープです。「トム」は煮る、「カー」はタイの生姜、「ガイ」は鶏肉を意味します。
トムヤムクンのような辛味・酸味が強いスープとは異なり、まろやかでクリーミーな味わいが特徴のスープです。
中国
酸辣湯


酸辣湯(サンラータン)は中国の代表的なスープ料理で、酸味と辛味のバランスが特徴。
とろみのついた具だくさんの中華スープで、食欲を引き立てる中国四川料理の代表的な一品です。
フカヒレスープ


フカヒレスープは、中国料理の高級食材であるフカヒレを使ったスープで、独特のコリコリとした食感と旨味が特徴。世界四大スープの一つです。
フカヒレ自体は味がほとんどなく、スープの味を吸収しやすいゼラチン質を持つため、旨味たっぷりのスープとの相性が抜群です。
韓国
参鶏湯


参鶏湯(サムゲタン)は韓国の伝統的な薬膳スープ料理です。
若鶏の腹に高麗人参、もち米、ナツメ、にんにく、栗、松の実、ショウガなど滋養強壮に良いとされる食材を詰めてじっくり煮込みます。
ユッケジャン


ユッケジャンは韓国の伝統的な辛味牛肉スープです。牛肉を細かく割いてねぎ、もやし、ぜんまいなどの野菜とともに唐辛子やコチュジャンでピリ辛に煮込みます。
牛肉の旨味と唐辛子の辛味が調和した真っ赤なスープが特徴で、体を温め食欲をそそる一品として人気があります。
アメリカ・中南米のスープ
アメリカ
クラムチャウダー


クラムチャウダーはアメリカを代表するクリーミーな貝のスープ料理です。あさり(クラム)を使い、牛乳やクリームで仕上げるのが特徴。
じゃがいも、にんじん、玉ねぎ、セロリ、ベーコンなどの具材もたっぷり入っており、濃厚で満足感のあるスープです。
チキンスープ


チキンスープは鶏肉を主な材料に使ったスープ料理。鶏肉の旨味が溶け込んだ滋味深い味わいが特徴です。
鶏ガラや鶏肉を煮込んで出汁をとり、玉ねぎ、にんじん、セロリなどの野菜とともに煮込み、塩や胡椒で味を調整します。
体を温める料理として世界中で広く食べられていますが、特にアメリカでは代表的なスープとして親しまれています。
メキシコ・南米
カスエラ
カスエラとは、スペイン語で「鍋」や「土鍋」を意味し、南米およびスペイン語圏で親しまれている伝統料理です。
地域によって多様ですが、一般的には肉や野菜を豊富に使い、濃厚な出汁の効いたスープで煮込みます。素材の旨味を引き出した家庭的な味わいが特徴です。
ポソレ


ポソレはメキシコの代表的な伝統料理で、トウモロコシの粒を使った具だくさんのスープです。
主に豚肉や鶏肉と一緒に煮込み、味付けやトッピングは地域や家庭によってさまざま。アステカ時代まで起源をさかのぼることができる非常に歴史ある料理です。
アフリカのスープ
北アフリカ
ハリラ


ハリラはモロッコやアルジェリアを中心とした北アフリカの伝統的なスープ料理です。
トマトベースに豆や野菜、ラム肉や牛肉などをたっぷりと煮込みます。スパイスとしてクミン、コリアンダー、サフラン、パプリカなどが使われ、レモンやコリアンダーの葉で風味付けされるのが特徴。
特にイスラム教のラマダンの断食明けの食事「イフタール」で食べられる重要な料理で、断食後の空腹を優しく癒し栄養補給をするために広く親しまれています。
西アフリカ
ピーナッツスープ
ピーナッツスープは、クリーミーでコクのあるスープ料理で、西アフリカを中心に多くの国々で伝統的に食べられています。
西アフリカ発祥のピーナッツペーストをベースに、トマトや野菜、肉類が加えられ、スパイスで味付けされることが多いです。
スープの種類は作り方でも分類できる
世界のスープは、国や地域だけでなく“作り方”でも大きく4つに分類できます。
それぞれの特徴と代表的なスープを簡単に紹介します。
ブイヨン系(透明スープ)


ブイヨンとはフランス発祥の「だし汁」のことで、肉・魚・野菜・ハーブなどを弱火でじっくり煮出して作る、澄んだ透明の液体です。
このブイヨンをベースにして、作るのがブイヨン系スープ。日本のだしが素材の風味を生かした繊細な味わいであるのに対し、ブイヨン系スープは肉や野菜のコクと深みが特徴です。
- コンソメスープ(フランス)
- フォー(ベトナム)
- チキンスープ(アメリカ)
ポタージュ系(とろみスープ)


ポタージュ系スープは、主に野菜や豆などの素材をやわらかく煮て、ピューレ(裏ごしやミキサーでなめらかにした状態)にすることでとろみと濃厚さを持たせたスープです。
なめらかでクリーミーな舌触りが特徴で、素材の自然な甘みや旨味が凝縮されています。
- じゃがいものヴィシソワーズ(フランス)
- かぼちゃのポタージュ(フランス)
- レンズ豆のスープ(中東)
クリーム系


牛乳や生クリーム、バターなどの乳製品を使い、濃厚でまろやかな味わいと口当たりが楽しめるのがクリーム系スープの特徴。
素材の旨味やコクが引き立ち、リッチで温かみのあるスープとして特に冬に人気があります。温めるだけでほっとする味でパンやごはんとも相性抜群。
- クラムチャウダー(アメリカ)
- サーモンスープ(北欧)
- コーンクリームスープ(日本)
その他のスープ
ブイヨン・ポタージュ・クリームのどれにも当てはまらない、各国独自のスタイルを持ったスープも多く存在します。
- 味噌汁(日本)
- チゲ(韓国)
- トムヤンクン(タイ)
- カレー風スープ(インド・スリランカなど)
おうちで楽しむ!世界の人気スープレシピ
世界で愛される人気スープの簡単レシピを紹介!
特別な材料がなくても作れるよう、スーパーで手に入る食材で再現できる形にまとめました。
ミネストローネ(イタリア)


イタリアの家庭料理として親しまれてきたミネストローネは、野菜の旨味がスープに溶け込むスープ。
使う野菜に決まりはなく、冷蔵庫の残り物でも美味しく仕上がるのも魅力です!
- 野菜(玉ねぎ1/2・にんじん1/2・キャベツ1/4・じゃがいも1個など)
- にんにく 1かけ
- 薄切りハーフベーコン 4枚
- カットトマト缶 200g
- 水 600ml
- コンソメ顆粒
- 塩、胡椒
- オリーブオイル
- 野菜を小さく角切りにする。
- にんにくはみじん切り。ベーコンは1cm幅に。
- オリーブオイルでにんにくを弱火で炒め、香りがたったら野菜、ベーコンを中火で炒める。
- トマト缶+水を加えて煮る
- 塩・胡椒で味を整えて完成!



野菜だけでも旨味が出ます!
トムヤンクン(タイ)
エスニック料理の定番「トムヤムクン」。
辛味・酸味・旨味が一体となった“タイの薬膳スープ”です。
家でも意外と簡単に作れます!
- えび(殻付き)6尾
- たまねぎ 1/2個
- ミニトマト 6個
- しめじ 100g
- にんにく 1かけ
- 水 600ml
- トムヤムペースト 大さじ3
- レモン汁 大さじ2
- ナンプラー 大さじ1
- サラダ油
- 玉ねぎは薄切り、ミニトマトは半分に切る。
- にんにくは包丁の腹でつぶす。
- サラダ油でにんにくを弱火で炒め、香りが立ったら中火でたまねぎ、しめじ、えびを炒める。
- ミニトマト、水、トムヤムペーストを加え5分ほど煮込む。
- ナンプラー・レモン汁で味を整える



本場さながらの香りが広がり、食欲がない日にもぴったり!
クラムチャウダー(アメリカ)
アメリカ北東部で愛されるクラムチャウダーは、ミルクのまろやかさ、あさりの旨味が特徴の濃厚スープ。
「あさりの水煮缶」を使えば簡単。パンにもご飯にも合う万能スープです!
- あさりの水煮缶 1個
- じゃがいも 1個
- 玉ねぎ 1/2個
- にんじん 1/2本
- 薄力粉 大さじ1.5
- 牛乳 300ml
- 水 300ml
- コンソメ顆粒 大さじ1
- 粉チーズ 大さじ2
- バター
- 塩、胡椒
- 玉ねぎ・じゃがいも・にんじんを1cm角に切る。
- バターでカットした野菜を炒める。
- しんなりしたら、薄力粉を加えて炒める。
- 粉がなじんだら「あさりの水煮缶」の煮汁、水を加えて5分ほど煮る。
- あさり、牛乳、粉チーズ、コンソメ顆粒を加えて弱火で加熱。沸騰する直前に火を止める。
- 塩・胡椒で味を整え完成!



具だくさんにすれば、メイン料理にもなる満足の一杯に!
ボルシチ(ウクライナ)
鮮やかな赤色が特徴のボルシチは、ウクライナやロシアで親しまれてきた“家庭の味”。
「ビーツの水煮」があれば、家庭でも驚くほど簡単に再現できます!
- 牛こま切れ肉 200g
- ビーツの水煮 200g
- キャベツ 1/8個
- 玉ねぎ 1/2個
- にんじん 1/2個
- カットトマト缶 200g
- コンソメ顆粒 小さじ1
- 水 600ml
- 塩
- 酢(あれば赤ワインビネガー)
- 砂糖 小さじ1/2
- バター
- サワークリーム
- サラダ油
- 玉ねぎを薄切り、人参・キャベツを千切りに。
- 牛こま切れ肉をフライパンで炒めて取り出す。
- 玉ねぎ、にんじんをバターでしんなりするまで炒める。
- ビーツ、キャベツ、水、トマト缶、コンソメ顆粒、砂糖を加えて煮込む(7分ほど)。
- 酢と塩で味を整える。
- 器に盛り付けサワークリームを添えて完成!



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まとめ
この記事では世界のスープについて、次のとおり解説しました。
- スープは人類最古の料理
- 気候、食材、宗教・文化によって地域ごとに特徴がある
- 地域・国ごとの代表的なスープまとめ(21選)
- 作り方での分類(ブイヨン系、ポタージュ系、クリーム系、その他)
- 世界の人気スープの簡単レシピ
世界には、その土地の気候や歴史、暮らしが映し出された多様なスープが存在します。
濃厚な煮込み料理から、香り豊かなエスニックスープ、野菜たっぷりのヘルシースープまで——
どれも人類の長い歴史のなかで生まれた「文化そのもの」です。
スープは食材の栄養を無駄なく取り入れられる、体にも心にもやさしい料理。
忙しい日でも、ひと椀あるだけで食卓が豊かになります。



今日の気分に合わせて、世界のスープをおうちで楽しんでみてください!


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