ほとんどの人が習慣的に食べている”健康に悪い”という科学的根拠のある3種類の食べ物

健康的な食習慣を身につけようとしたとき、避けたいのは「健康に悪い食べ物」です。
しかし、ネットなどで調べてみると、非常に多くの食品が「健康に悪い」と紹介されており、中には過剰な表現のタイトルが付けられていたりしていて何が真実の情報なのかわからなくなります。
そこで今回は、多くの日本人が日常的に食べている食べ物の中から、特にエビデンスレベルの高い「健康に悪い食べ物」について解説します。
食習慣改善の参考としていただければ幸いです。

目次

科学的に認められている「健康に悪い」3種類の食べ物

数多くの信頼できる研究によって「健康に悪い」ということのできる食品は、①「赤い肉(牛肉・豚肉など)」②「白い炭水化物」③「バターなどの飽和脂肪酸」の3種類の食品です。

これは、医師でカリフォルニア大学ロサンゼルス校の助教授である津川友介氏によって2018年に発表された著書『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』において解説されています。


他にも健康に悪い食品は数多くあるとは思いますが、『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』の中で研究結果の信頼レベルが最も高いものとしてに悪い」と解説されているのが「赤い肉」「白い炭水化物」「バターなどの飽和脂肪酸」です。

「赤い肉」「白い炭水化物」「飽和脂肪酸」は『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』だけではなく、他の多くの書籍などでも健康に悪い食品であるということが指摘されています。

ですが、これら3種類の食品を習慣的に食べている人は多いのではないかと思います。

では、3種類の食品がなぜ健康に悪いとされているのか。

健康的な食習慣を身につけるためには何に気をつければ良いのかを解説していきます。

3種類の食べ物が「健康に悪い」とされている理由

はじめにお伝えしたいのは、ここで紹介した3種類の食品を食べたからといって直ちに病気になってしうということではありません。

また、完全に食べることを止めるべきであるということを主張するつもりは全くありません。

しかし、長く習慣的に多くの量を摂取することによって、健康寿命にデメリットが生じることが考えられ、それは知っておく必要があると思います。

ここではそのデメリットについてお伝えします。

赤い肉(牛肉・豚肉など)

赤い肉

赤い肉が「健康に悪い」とされる最も大きな理由は大腸がんのリスクが高くなることです。

「赤い肉」とは牛肉や豚肉、羊肉、馬肉などのことで鶏肉は含みません。(赤身肉のことではありません。)

特に、ハムやソーセージなどの加工肉は体への悪影響が大きいとされています。

2015年10月にWHOの専門組織である国際がん研究機関(IARC)が「加工肉は発がん性があり、赤い肉はおそらく発がん性がある」と報告したことが話題となりましたが、世界の研究結果をもとに発表されたものになります。

この報告によると、加工肉の場合、1日あたりの摂取量が50g増えるごとに大腸がんのリスクが18%増加するとされています。

また、他の9つの論文を統合した研究結果によると、加工肉の摂取量が多くなるほど、全死亡率、脳卒中や心筋梗塞など動脈硬化による死亡率、がんによる死亡率がいずれも上昇することが明らかになっています。

日本においても国立がんセンターが日本人を対象にした研究を行っています。

この研究は約8万人の日本人を8〜11年間追跡したものですが、その結果、赤い肉や加工肉の摂取量が多くなるほど、大腸がんのリスクが高くなる傾向が認められています。

具体的には、女性において毎日80g以上赤い肉を食べているグループで結腸がん(大腸がんのうち肛門から遠い部分)のリスクが48%高くなっています。

それ以下の摂取量のグループや男性のグループでは確実な結果は出ていませんが、詳細にみると結腸がんのリスクが上がる傾向が見られています。

ただし、日本人は海外と比較して赤い肉・加工肉の摂取量がそもそも少なく、国立がんセンターでは平均的な日本人の摂取量であれば健康に与える影響は少ないとも解説されています。

赤い肉やソーセージなどが好きな方は、量や頻度に気をつけて食べることが重要であると考えられます。

【参考文献】
赤肉・加工肉のがんリスクについて|国立がん研究センター
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2015/1029/index.html

白い炭水化物

米とパン

白い炭水化物が「健康に悪い」とされる最も大きな要因は、血糖値を急上昇させ、脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化による病気が起こるリスクを上げることです。

「白い炭水化物」とは白米や小麦粉(パン、パスタ、うどん等)など精製された炭水化物を意味しています。

多くの日本人が主食としている身近な食品だと思います。

「炭水化物」とは糖質と食物繊維の総称ですが、精製によって食物繊維やその他の栄養素の多くが取り除かれてしまったのが「白い炭水化物」です。

白い炭水化物はほとんどが糖質なので、砂糖と同じようなものと考えて良いです。

摂取することにより血糖値が急上昇すると、すい臓から「インスリン」と呼ばれるホルモンが分泌され、今度は血糖値が急降下します。

この血糖値の乱高下は食後に「眠くなる」「だるくなる」「イライラする」といった症状をもたらします。

そして、糖質の摂りすぎによりすい臓が疲弊すると、インスリンの分泌量が低下する「2型糖尿病」の発症につながります。

その結果、動脈硬化による病気のほか、認知症や腎症、がんといったさまざまな病気のリスクが高くなってしまいます。

「白い炭水化物」にはこのようなリスクがあることを知っておくことがまず重要だと思います。

※2021年にBMJ(英国医師会雑誌)で発表された21カ国14万人を10年間追跡調査した結果では、精製穀物(小麦粉等)の摂取量が多いほど全死亡率・脳卒中や動脈硬化のリスクが高くなる結果が出ているのに対して白米については有意な結果が出ていません。もしかすると白米は小麦粉製品ほど血糖値を急上昇させないのかもしれませんが、引き続き情報収集をしていきたいと思います。

【参考文献】
日本の男性と女性における米の摂取量と2型糖尿病:日本公衆衛生センターに基づく前向き研究 2010|American Journal of Clinical Nutrition(AJCN)
https://ajcn.nutrition.org/article/S0002-9165(23)02155-X/fulltext?keytype2=tf_ipsecsha&ijkey=d4f90ae939f177c8d013b0cfdccafdab802dc7b1

白米の消費と2型糖尿病のリスク:メタアナリシスと系統的レビュー 2012|BMJ(英国医師会雑誌)
https://www.bmj.com/content/344/bmj.e1454

将来の都市および農村疫学研究における21カ国の穀物摂取量と心血管疾患および死亡率との関連:前向きコホート研究 2021|BMJ(英国医師会雑誌)
https://shokunotankyu.com/wp-admin/post.php?post=103&action=edit

バターなどの飽和脂肪酸

バター

バターなどの飽和脂肪酸が「健康に悪い」とされている理由は、摂りすぎると血中総コレステロールが増加し、心筋梗塞をはじめとする循環器疾患のリスクが高くなることにあります。

飽和脂肪酸はバターなどの動物性脂肪やパーム油などの植物油脂に多く含まれています。

飽和脂肪酸を過剰に摂取すれば血液中のLDL(悪玉)コレステロールを増加させ、動脈硬化のリスクが高まると考えられています。

一方で、飽和脂肪酸の摂取量が少なすぎても、脳卒中のリスクを上げるといる研究結果が報告されています。

なかなか難しいですが、適正な量を摂取する食習慣を身につけることが望ましいです。

適正な量については、国立がんセンターの日本人8万2000人を対象とした研究により、「牛乳1日1杯(200g)、肉2日に1回(150g程度)」が最も脳卒中、心筋梗塞のリスクが低いとされています。

これは正確な数値ではなく参考値であるとのことですが、食生活改善のうえで一つの目安になると思います。

【参考文献】
脂質による健康影響|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/fat_eikyou.html

飽和脂肪酸摂取と循環器疾患発症の関連について|国立がん研究センター
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3273.html

おすすめの食生活改善方法

ここまで読んでいただければ、3種類の食品が「健康に悪い」とされている理由をご理解いただけたかと思います。

再度申し上げますが、これらの食品を全く食べない方が良いと伝えたいわけではありません。

例えばここで「赤い肉」に分類されている豚肉には疲労回復に効果のあるビタミンB1が豊富に含まれていたり、バターなどの飽和脂肪酸は摂らなすぎても脳卒中のリスクがあるとされています。

やはりバランス良く食事に摂り入れることが健康的な食生活を送る基本となります。

次は今回紹介した食品の健康リスクを考慮したうえで、肉、主食、油の健康的な食習慣への取り入れ方についてお伝えしたいと思います。

タンパク質は人間の体の構成成分やエネルギーとなる必要不可欠な栄養素です。

肉はこのタンパク質を効率的に摂取することのできる重要な存在です。

また、鶏肉・豚肉・牛肉は購入や調理がしやすく、毎日の主菜にしている人は多いのではないかと思います。

食習慣にバランスよく取り入れたいところですが、「赤い肉」の摂りすぎは大腸がんのリスクを高めます。

そのため、肉を食べる時はなるべく「鶏肉」を選ぶことをお勧めします。

鶏肉は低脂肪・低カロリーで牛肉や豚肉よりもタンパク質が豊富です。

また、肉ではなく魚を食べる日を多くすることも健康に大きなメリットがあるといえます。

豚肉は「月に3回程度」、牛肉は「月に1回程度」など食べる頻度を決めてしまうことで、「赤い肉」の摂りすぎを防ぐことができると思います。

適切な摂量については体格や年齢など人それぞれで異なるので具体的にお伝えすることは難しいですが、厚生労働省と農林水産省により策定された「食事バランスガイド」が参考になると思います。

【参考文献】
「食事バランスガイド」について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html

主食

私達日本人が主食として最も食べているのは「白米」だと思います。

しかし、白米やうどん、パスタなどの「白い炭水化物」の食べ過ぎは血糖値を急上昇させ、糖尿病から動脈硬化による病気の発症リスクを高めます。

その改善策としてなのおすすめなのは、「玄米」や「蕎麦」、「全粒粉」などの精製されていない「茶色い炭水化物」を「白い炭水化物」の代わりに摂ることです。

「茶色い炭水化物」は食物繊維や栄養成分を豊富に含み、死亡率を下げることが複数の研究で示されています。

毎日主食として白米やうどん、パスタなどを食べている方は、週のうち何回かでも良いので、「玄米」や「蕎麦」などを食べる習慣に変えることで、長期的に見て大きな健康効果があると思います。

白米が好きでどうしても食べたい人は、先に野菜などの食物繊維を食べ、その後によく噛んで食べることで血糖値の上昇をなるべく抑えるようにすると良いと思います。

バターを使った料理は美味しいですが、動脈硬化のリスクを高めてしまうので、摂取量はなるべく抑えたほうが良いです。

摂らなすぎると脳卒中のリスクが高まるという話をしましたが、肉などを食べていれば自然に十分な量の飽和脂肪酸を摂取できるので、ほとんどの場合意識して摂取する必要はないと思います。

おすすめの改善策は、どうしてもバターが必要な料理以外はオリーブオイルで代用することです。

オリーブオイルは脳卒中や心筋梗塞のリスクを減らすことが研究で明らかになっています。

味わいは異なりますが、オリーブオイルを使った料理も十分美味しいです。

私が個人的にやっているのは、ムニエルなどのバターをたくさん使う料理の場合、バターの量を減らし、その分オリーブオイルを混ぜることで、バターの香りを残しつつしっかりと調理でき、飽和脂肪酸の摂取量を減らすことができます。(経済的でもあるのでお勧めです。)

また、スナック菓子の多くにはパーム油などの飽和脂肪酸が使われているので、なるべく食べないようにすることをお勧めします。

まとめ

今回は科学的に「健康に悪い」と証明されている食品として、「赤い肉」「白い炭水化物」「バターなどの飽和脂肪酸」について解説させていただきました。

これらは食べてはならないというわけではなく、健康へのリスクを考慮して無理せずストレスのない範囲でそれぞれが食べる量や頻度、食べ方を判断することが大切だと思います。

まずは知ることが”食の自由”を手に入れるうえで非常に重要です。

これからも最新情報に注意しながら、”食”についての情報を発信していきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

【関連記事】
「健康に良い」と言われている食べ物はなぜ5つ?その理由を解説|食のコンパス
https://shokunotankyu.com/blog-food-health1/

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